宮ケ瀬ダムから見えて気になっていた謎の施設があります。それは、宮ケ瀬ダムの「宮ヶ瀬ダム水とエネルギー館」の前あたりから対岸の山の斜面に見える「緑色の円錐型をしたタワー設備」とそれに付随する「建屋」です。
こちらが、実際に近くまで行くことが出来たのでそのときの写真です。結論から言ってしまうと、この施設は「南山無線中継所」という電波を中継するアンテナを設置する「電波塔」と、通信機器や電力装置などが設置されている「建物」でした。
なぜ、このような不思議な色と形状の電波塔になったのでしょうか?おそらく自然環境に配慮し、周囲に馴染むデザインにしたのではないでしょうか。この電波塔少し離れて見ると、茶色い幹と緑の樹幹と見立てればモミの木にも見えなくもないです。
では、さっそく現地への行き方についてお話しいたいと思います。地図によると県道が走る青山トンネル側からこの施設に通じる階段があるように見えますが、現地に着くとその場所へ通じるところには柵があり入れないようですね。そこで、登山道経由で南山の山頂まで登り、そこから尾根伝いに下って行けるところまで行ってみる事にしました。
まずは、南山の山頂を目指し登山を開始します。登山口は「宮ヶ瀬ダム水とエネルギー館」の対岸にある「ダム管理事務所」前の道路を「あいかわ公園」方面へ400mほど下ったところにあります。
登山道は丸太の階段などでよく整備されていて、とくに危険な所は無いハイキングコースでした。
小さなアップダウンを何度か繰り返すと1時間もかからずに南山の山頂に着きます。写真にあるように、山頂から宮ケ瀬湖方面へ伸びる尾根伝いに薄い踏み跡が見えました。そこから少し踏み跡を辿ってみると、思っていたより多くの踏み跡があり迷うことなく下れました。
下り始めるとすぐに踏み跡も一本の筋道となり、登山道のように道は明瞭になりました。
尾根の先端に近づくと例の電波塔が見えてきます。
さらに進むと、電波塔のある広場が見えるところに出ました。広場は人工丸太の柵で囲まれていて一ヵ所だけ開いていますが、おそらくこの間口は県道から続く管理路に通じる所だと思います。周囲には立入禁止の表示等は見あたりませんでしたが一応入らない方がいいのかと思います。
柵の外から建屋などを観察してみると、建物に掲示された看板には「建設省関東地方局 南山無線中継所」の 文字がありました。
電波塔の方には、数本の八木アンテナがあるのみでした。ネットに上がっていた数年前の写真ではパラボラアンテナも付いていたのですが、おそらく撤去されたのでしょう。そして、この電波塔については、「建設省南山無線中継所通信用鉄塔」という施設だという事が分かりました。参考までに、高さは15mの直径は1.2mあり標高490.0mで竣工年月日は平成7年12月で電気興業株式会社が施工したものだそうです。
電波塔のそばには巨大なコンクリート構造物があります。おそらく、こちらはダム建設の際に対岸の山とワイヤーで結び建設資材の搬送などに使ったと思われます。その根拠に対岸の山(仏果山への登山道脇)にも同じコンクリート製の構造物がありました。
広場の柵が途絶える開口部から続くように人工丸太でつくられた階段がありました。これは県道へ通じる管理路に続いているように思いますので、そうだった場合はここを下っても道路には出られない事になります。ということで、帰りも来た道を登り返し南山の山頂へ戻りました。