自作して7年ほど経つPCが起動しなくなりました。原因はタイトルのとおりBIOSが搭載されている「CMOSの電池」が、寿命により電圧低下したことでした。この電池はBIOSの設定情報を保存しているCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)と呼ばれる半導体へ、PCに電源が供給されていない時にも電力を供給し情報を保持する役目があります。
症状は
数か月前からPC使用中にWindowsによるシャットダウン(俗にいうブルー画面)ではなく、停電になった時のように突然電源が切れる。しかし、再び電源を入れれば問題なく使えていたので、様子を見ながら使い続けていました。
その後は、上記の事象が起こる頻度が多くなり間隔も短くなって、とうとう起動しなくなりました。電源スイッチを入れると、BIOS画面や警告音(BIOSビープ音)すらも出ないで、CPUファンが回って20秒ほどで止まるを繰り返すのです。
原因探索
上記症状の電源ON・OFFを永遠に繰り返す現象について、webで検索すると次のような情報が数件見つかった為それぞれ検証してみました。
- 電源ユニットの「EPS12V 8ピン」の電力供給不足が疑われたので、テスターで計測するも規定通り供給されていました。
- CPUの異常温度によるシャットダウンも挙げられていましたが、起動直後の数十秒で90℃近くも上がるはずはないと思い除外しています。
最終的に、起動時の異常で疑われる頻度の高い「BIOS」に原因があると狙いを定め、まずはCMOSのメモリーをクリアして工場出荷時の状態にする事にしました。
CMOSクリアーをするためには、マザーボードに搭載されれているジャンパーピンを利用してメモリーをクリアしことが可能です。ジャンパーピンが設置されている場所は、通常はマザーボードに搭載されているCMOS用のコイン型電池のそばに搭載されっている事が多いです。ジャンパーピンの場所や使い方は、マザーボードによって異なるので取扱説明書や基板に記載されたピンアサインを参考にしてください。
ちなみに今回は、だいぶ古いPCなので電池の液漏れの確認もしたかった事もあり、電池を取り外してみる事にしました。液漏れはありませんでしたが、そのついでに電圧を測ってみると2.7V程しかなく、正常に機能していないようでした(写真参照)。
公証3Vのところ2.7Vというと、10%の低下ですから起動に影響する可能性は考えられます。ただコイン型電池は2.5Vくらいに低下するまで使用できると聞いたことがありますが、とりあえずCMOS用のコイン型電池を新品に交換する事にしました。今回交換した電池は、CR2032という形式で家電量販店などでも取り扱っている一般的なコイン型電池でした。
結果
CMOSの電池を交換しただけでBIOSが問題なく起動しました。これで今回の件は解決しましたが、ここで一つ疑問が湧いてしまいましたので興味がある方はお付き合いください。
以前の認識(数十年前)では、CMOS(BIOS)電池ってBIOSの設定値などを記録しておくだけで起動には関与していないと思っていました。マザーボードからCMOS電池を外していても、日時や起動オプションなど設定項目は記録できないだけで、デフォルト設定値でBIOSだけは起動できるものだという事。
しかしここ数年のBIOSは高機能化しUEFIへと進化していったため、CMOS電池からの電力供給が無いと起動すらしないのかもしれません。マザーボードやBIOS(UEFI)によって違いはあると思いますが、長期間使っているPCが起動できない場合は、まずCMOSの電池を疑って交換してみるのも手ではないでしょうか。コイン電池の値段100円程度と電池交換のわずかな時間で検証できます。