梅雨の合間に、神奈川県伊勢原市の日向地区をぶらぶらと散策してきました。
伊勢原市の日向地区といえば「日向薬師」というほど、有名なお寺があります。このお寺って… 皆さん「日向薬師(ひなたやくし)」と呼んでいますが、日向薬師はこのお堂に祀られている本尊のお名前であり、お寺の名称は別にあるのではと疑問が湧き調べてみました。
どうやらこのお寺の名称は「宝城坊(ほうじょうぼう)」というそうです。かつては12の寺院からなる「日向山霊山寺(ひなたさんりょうぜんじ)」という大寺院だったという事。そして廃仏毀釈運動により多くのお堂が消滅し、今は本堂の薬師堂や鐘堂のほか仁王門だけが残る形となってしまいました。そして現在は、霊山寺のひとつの坊であった「宝城坊(ほうじょうぼう)」の籍を継いで、「日向山 宝城坊 日向薬師 」という名称になっていることが分かりました。
まぁガイドマップなどにも「日向薬師」と記載されているので、”日向薬師” と呼んでいいのでしょう。
日向薬師といえば、なんといっても薬師堂のこの立派な茅葺屋根でしょう。2011年1月から5年以上かけて修復された美しい茅葺屋根です。
日向薬師は「高野山真言宗」のお寺ですので、境内には弘法大師の銅像が安置されています。
境内の東側に位置する「本鐘堂」も茅葺屋根で風情があります。
「本鐘堂」の説明看板。伊勢原市の指定文化財になっています。
お堂内につられた鐘も歴史を感じる銅鐘でした。
つづいては、日向薬師から1.5kmほど日向川の上流側にある「浄発願寺」の三重塔を訪れました。「浄発願寺」はもとは日向川上流の一ノ沢にあったのですが、1938年秋の台風で土砂崩れがおこり大きな被害をうけて、やむをえず現在の場所に再建されたそうです。
つづいて、「浄発願寺」から日向川沿いに600mほど進んだ所にある「石雲寺」へ訪れました。大きな屋根の立派なお寺でした。曹洞宗のお寺で「雨降山 石雲寺(うこうざん せきうんじ)」というそうです。
本堂の軒先には大きな木彫りの魚がつるされていました。そばにあった説明書きによると… “「梆(ほう)」といい、食事の時間になると打ち鳴らされ修行僧はこの音を聞いて僧堂に集まる” と書いてありました。
「石雲寺」の参道と苔むした石仏が、厳かな雰囲気を感じさせてくれました。
「石雲寺」から日向川沿いにさらに1.3kmほど進み、気になっていた湧水スポットの「日向渓谷の名水」に到着。砂防ダムの堰堤からパイプにより導かれた伏流水は、とても冷たく透明度の高いお水でした。“この水を利用する場合は煮沸してください” と書かれた伊勢原市の看板があったため生水では飲んでません。