神奈川県の葉山町を流れる「森戸川」の源流へ遡上して、最初の一滴を見に行ってきました。森戸川は上流に向かうに従い次々と支流が現れてくるので、今回は上記の地形図に記したように、最も山奥から流れる沢を源流とみなして「南沢」を遡上する事にしました。ちなみに、森戸川上流部で比較的大きな沢は「南沢」のほかに、「中沢」と「北沢」という沢がありますが、そちらへの訪問はまたの機会にします。
県道311号から川久保交差点を森戸川沿いに進み、舗装路が砂利道に変わるとすぐに林道ゲートが現れます。ゲートは車や二輪車などの車両が侵入できないように閉ざされていますが、歩行者は右側のコの字型の通路から通れるようになっています。そのためゲート手前の少し離れた路肩には、よく自転車やバイクが駐車してあるそうです。
最初のゲートを通過すると、単管パイプで作られた簡易なゲートが2つ現れます。こちらのゲートも歩行者は通行可能です。おそらく手前の立派なゲートができる以前の物か、ハイカーさんが川側を歩くと路肩が崩れ危ないので、導線を誘導するために設置したものだと思います。
最初のゲートから十数分歩くと、森戸川にかかる県道217号の三浦半島中央路の高架橋の下をくぐります。
森戸川は、まだまだ川幅もあり大きな堰堤が現れます。
この辺りで林道らしい道は終点になり、ここからは登山道のようなハイキングコースになります。林道終点の手前を写真に記したように、分岐を森戸川の沢沿いの道に降りて行きます。
ここが中沢と南沢の分岐点になります。ハイキングコースも写真に記したように「南沢方面」と「中尾根ルート」、「中沢方面」に分かれます。
今回は森戸川の源流という事で、南沢方面へ進みます。分岐点に設置されていた手作りの標識には、分かりやすく行き先が記載されていました。
先ほどの分岐点から道は、ハイキングコースという雰囲気ではなく、渡渉や多少の地図読み力が必要なバリエーションルートになっていきます。
ようやく南沢源流の文字が記載された標識が現れましたが、このあたりからヤブ漕ぎ要素も加わり一般ハイキングコースではない事を実感させられます。
このリスの絵が描いてある看板には、逗子市消防署の電話番号と「みなみさわ 14」と記載されたシールが貼ってありました。これのおかげで、この沢が南沢だと確証が持てて安心できました。
ようやく、沢の水量は少なくなり源流部が近い事を感じる風景になってきます。そして南沢沿いのハイキングコースは、沢を離れて尾根筋へと向かっていきますが、今回はそのまま小さな沢を登りつめていきます。
そして小さくなった沢を遡上すると、岩の間から湧水が浸み出る源流部にたどり着きました。写真の奥に写る苔むした2メートルほどの崖下から湧き出ているようです。ここが森戸川の源流で「最初の一滴」という事になります。
念のためその先の枯れ沢を更に上流部へ登って行くと、U字型をしたヤブの薄い谷が現れましたが、水の流れた気配はありませんでした。雨が降るとこの谷に雨が浸み込み水脈となるのでしょう。
さらに谷をつめていくと、南沢の端部から分岐してきたハイキングコースの途中に出てきました。
そのルートを進むと、逗子市消防本部の設置した緊急時のお知らせ番号が記載された看板「44番」の所に出てきます。ちょうど乳頭山近くにある三国峠の付近に出てくる事になります。
そして乳頭山へ向かい、ここから望む横須賀の港の風景を満喫しました。この乳頭山から西側に降った雨水は、今回遡上してきた森戸川へと流れ、最後は相模湾にそそぐことになります。そして東側に降った雨水は東京湾に流れ込むという、ちょうど分水嶺となっていることが分かりました。