「平塚八景」というのは、平塚市が市制施行(1932年)から50年がたった1982年に、市制50周年を記念して市民の推薦をもとに、平塚を代表的する景色として8カ所を選定したものです。どの場所も景色や景観の良い場所だったり歴史のある地として、平塚の名所となっています。
各名所の所在地はすべて平塚市内にあるため、自動車やスポーツサイクルなどを利用すれば一日で8ヵ所を巡る事も容易です。また、七国峠や遠藤原はとても景色が良い場所なので、徒歩や公共交通機関を使って何日かに分けてハイキングとして楽しむのもオススメです。
では、さっそく今回訪れた「平塚八景」の名所を紹介したいと思います。
湘南平(しょうなんだいら)
湘南平という場所は、平塚市と大磯町にまたがる丘陵状の台地にひらけた「高麗山公園」として整備されています。公園の名称は高麗山公園となっていますが、一般的に湘南平として呼ばれている展望台やレストハウスがある広場は、昔は「泡垂山千畳敷(あわたらやませんじょうじき)」と呼ばれていて、公園として整備するにあたり「湘南平」と呼ばれるようになりました。
ちなみに高麗山という山は、この丘陵の東端にあります。場所は、標高181mの湘南平(泡垂山)から東側に徒歩30分ほどの場所に位置する168mのピークが高麗山です。国土地理院の地形図を見ると「千畳敷」と「高麗山」とうい表記で、位置関係が表されていて分かりやすいです。
レストハウスと展望台のある施設です。ここの展望台からは360度視界が開けていて絶景が望めます。無料で利用できる望遠鏡が2台設置されていました。
園内には「神奈川の景勝50選」に選定された証しのモニュメントがありました。しかし「平塚八景」の石碑や説明看板などのモニュメントに関しては、見つける事ができませんでした。しばらく園内を探しまわっていたところ、公園の管理スタッフの方にお会いでき「平塚八景」について伺ったのですが、石碑などモニュメントについての有力な情報をえることは出来ませんでした。次に来るときは、事前に詳しく調べてから訪れてみたいと思います。
湘南平で有名な電波塔の展望台は、工事中のため立入禁止になっていたため、旧展望台へ登ってみました。ここからの眺望は、晴れていれば大山などの丹沢山塊の雄大な景色が望めます。
- 所在地:神奈川県平塚市万田790
- 訪問日:2022/05/15
- 平塚八景の石碑:発見できませんでした。
- 平塚八景の説明看板:発見できませんでした。
- その他:レストハウスの開放時間は9時30分~21時30分
金目川と観音堂(かなめがわとかんのんどう)
坂東三十三観音巡りの第七番札所にもなっている天台宗のお寺です。お寺の名称は「金目山 光明寺」となっていますが、地元では「金目観音堂」と呼ばれ親しまれています。春になるとお寺の前を流れる金目川の土手に植えられた桜並木が、一斉に花を咲かせとても美しい風景となります。
境内の入り口に設置された「平塚八景 金目川と観音堂」の石碑と説明看板です。
こちらが、説明看板となっています。
立派な山門には大きな提灯がさがっていました。
こちらが観音菩薩像が安置されている本堂です。正方形をした木造の本堂と、軒先に向け緩やかに反り返る屋根のシルエットが美しい。ちなみに御本尊が安置されている厨子(ずし)と呼ばれる仏像などを安置する仏具は、国指定重要文化財となっています。
本堂正面には、「金目山」と浮き彫りされた風格のある木製扁額がかけられていました。
- 所在地:神奈川県平塚市南金目896
- 訪問日:2022/05/15
- 平塚八景の石碑:境内入口にあり。
- 平塚八景の説明看板:同上。
- その他:坂東第七番札所でもある。
七国峠・遠藤原(ななくにとうげ・えんどうっぱら)
七国峠
「七国峠(ななこくとうげ)」は平塚市の西端に位置した標高約180mほどの小高い丘にあります。昔はこの峠から、七つの国(甲斐、駿河、伊豆、相模、安房、上総、武蔵)を見渡す事ができた事から「七国峠」と呼ばれるようになったと伝えられています。現在の七国峠の位置は、ゴルフ場の造成にともない丘陵の最高地点では無い場所にありますが、今でも眺めの良い見晴スポットとなっています。
峠には「平塚八景 七国峠」の石碑とベンチが設置された東屋があり、休憩所となっていました。この東屋の軒下には「長兵衛茶屋」と書かれた木板が掲げられていました。これは、昔この峠に「長兵衛茶屋」という茶屋があって、行き交う人々に甘酒をふるまっていたことから、その名を継承しているのでしょう。
東屋入口より僅かに東南に「平塚八景 七国峠」の説明看板がありました。この看板には書いていませんが、この一帯はこの辺りで一番高い台地という事から、地元の方々からは「たかんど」と呼ばれています。
- 所在地:神奈川県平塚市土屋4841
- 訪問日:2022/05/15
- 平塚八景の石碑:東屋への入口にあり。
- 平塚八景の説明看板:東屋入口より僅かに東南にあり。
- その他:この地の領主であった土屋三郎宗遠の実子を供養する「供養松」の伝説あり。
遠藤原
「遠藤原(えんどうっぱら)」は平塚市土屋の西端に位置し、多くの畑や木々など自然が豊かな遠藤地区に広がる台地です。付近の畑作地域は日当たりや土質が良く、美味しい野菜が収穫できると評判です。地元の方のお話しでは、以前は麦の栽培も盛んに行われていたそうです。
「遠藤原」に広がるのどかな畑作地域をすすむ道の脇に、ベンチとテーブルの設置された小さな広場があり、その広場に「平塚八景 遠藤原」の石碑と説明看板が設置されていました。
こちらが「平塚八景 遠藤原」の説明看板です。
遠藤原は台地となっているため視界が開けているところが多く、丹沢山塊だけでなく富士山が望める絶景スポットもあります。
- 所在地:神奈川県平塚市土屋
- 訪問日:2022/05/15
- 平塚八景の石碑:テーブルとベンチが設置された小さな広場にあり。
- 平塚八景の説明看板:同上。
- その他:石碑の場所からは眺望は望めない。
霧降りの滝・松岩寺(きりふりのたき・しょうがんじ)
霧降りの滝
平塚市の吉沢地区にある落差12m程の滝です。「霧降りの滝」は宮下川の上流に位置していて、日之宮山を水源としています。
滝の右岸下流側には小さな広場があり、そこに「平塚八景 霧降りの滝」の石碑と説明看板が設置されていました。
こちらが「平塚八景 霧降りの滝」の説明看板です。
訪れたときの滝は、ゴツゴツとした礫岩の崖を流れ落ちる水しぶきが霧のように舞っていました。この滝は水量によって表情を変えるので、豪快な水流と水しぶきを見るのであれば雨の後など水量が多い日の訪問がおすすめです。
- 所在地:神奈川県平塚市下吉沢
- 訪問日:2022/05/15
- 平塚八景の石碑:滝の右岸側にあり。
- 平塚八景の説明看板:同上
- その他:かつて「魔王の滝」ともいわれ不動堂がありました。
松岩寺
1502年(文亀2年)に開山した曹洞宗大本山總持寺直末のお寺です。ご本尊として釈迦牟尼佛が安置されています。お寺のサイトによると、仏像には “延宝5年 京烏丸 仏師 宗運” と名が刻まれているそうです。
「平塚八景 松岩寺」の石碑は、長い階段を登りつめた先にある山門のそばにありました。
「平塚八景 松岩寺」の説明看板は、石碑のとなりにありました。
本堂は、山門から境内のお庭の中を数十m進んだ先にあります。境内には不老水と名付けられ、500年以上涸れたことのない清水が湧いています。
こちらが山門へ続くとても長い階段の参道です。ただし、車でお参りされる方のために並行して坂道が設けてあるので、階段が苦手な方は坂道を利用してお参りする事ができます。
- 所在地:神奈川県平塚市下吉沢614 松岩寺
- 訪問日:2022/05/15
- 平塚八景の石碑:山門から数m北東の通路脇にあり。
- 平塚八景の説明看板:同上。
- その他:松岩寺ホームページ⇒http://www.scn-net.ne.jp/~shouganj/index.html
森の前鳥神社(もりのさきとりじんじゃ)
「前鳥神社」は、平塚市の東端で中ほどに位置し近くに相模川が流れる場所に鎮座しています。その境内には大きなケヤキの古木や立派な桜の大樹など木々が多く、自然豊かな境内となっていました。ちなみにこの木々の森は、平塚市の保全樹林にも指定されています。
「平塚八景 森の前鳥神社」の石碑は、鐘楼が近くにある大きな石鳥居のそばに立っていました。
本殿は、自然豊かな木々の森につつまれた厳かな雰囲気の御社でした。
本殿の横には「幸せの松」と呼ばれるご神木が鎮座しています。この松の木に付く葉の多くが3本葉なのですがまれに4本葉のものがあり、それを見つけると幸せになれると伝えられています。
- 所在地:神奈川県平塚市四之宮4-14-26
- 訪問日:2022/05/15
- 平塚八景の石碑:鐘楼近くの鳥居付近にあり。
- 平塚八景の説明看板:同上。
- その他:前鳥神社のサイトはこちら⇒https://sakitori.jp/
八幡山公園(はちまんやまこうえん)
「八幡山公園」は、平塚市を通る国道1号線と県道606号線との交差点の近くに位置し、市街中心部という立地にありながら、となりに鎮座する平塚八幡宮と共に自然が多く残る市民の憩いの場となっています。
「平塚八景 八幡山公園」の石碑は、八幡山公園の南側入り口に設置されていました。
「平塚八景 八幡山公園」の説明看板は、公園の南側入り口から数m北に行った所に設置されていました。
公園の中ほどに建つシンボル的な洋館は「旧横浜ゴム製造所記念館」で、今は「ひらつか八幡山の洋館」として親しまれています。洋館の周囲にはバラが植えられていて、開花時期には美しいバラの花と洋館の姿を見る事ができます。
洋館はイベントなどで使用中の部屋を除き、入館料無料で見学する事ができます。開館時間は9時から21時30分までとなっていて、休館日は毎週月曜日(月曜日が休日の場合は翌日)と年末年始となっていました。
今回訪れた際はイベントで使用中だったため、展示室と応接室だけの見学となってしまいましたが、立派な応接室と室内を飾る調度品に目を奪われてしまいました。
- 所在地:平塚市浅間町1-1
- 訪問日:2022/05/17
- 平塚八景の石碑:公園南側の入口にあり。
- 平塚八景の説明看板:上記石碑より数m北にあり。
- その他:八幡山の洋館のサイト⇒https://hiratsuka-yokan1906.jp/
湘南潮来(しょうなんいたこ)
相模川下流の河口域が水郷潮来の風景に似ている事から、「湘南潮来」といわれるようになったと伝えられています。河口幅700mと広々とした河口と、相模川に架かる国道134号線の橋がこの風景の代名詞となっています。
「平塚八景 湘南潮来」の石碑と説明看板です。その隣に設置されている金属製のパネルが埋め込まれた大きな石は、相模川八景のモニュメントです。
こちらが「平塚八景 湘南潮来」の説明看板です。石碑と看板のどちらも、平塚漁港の須賀港から見える堤防に造成された朝霧河畔緑地に設置されています。
- 所在地:神奈川県平塚市須賀
- 訪問日:2022/05/17
- 平塚八景の石碑:朝霧河畔緑地内の北側にあり。
- 平塚八景の説明看板:同上。
- その他:相模川八景でもある。
平塚砂丘の夕映え(ひらつかさきゅうのゆうばえ)
「平塚砂丘」は相模湾のほぼ中央に位置し、東側は相模川から始まり西側の花水川まで、およそ4km続く砂浜の海岸線です。
「平塚八景 平塚砂丘の夕映え」の石碑と説明看板が設置されている平塚海岸にある休憩所です。場所は、国道134号線の「扇の松入口」交差点の位置から、南西方向に直線距離で100mほどの砂浜と防砂林の境界線上にあります。
こちらが「平塚八景 平塚砂丘の夕映え」の説明看板です。
こちらが「平塚八景 平塚砂丘の夕映え」の石碑と平塚砂丘の風景です。今回訪れた際は天気が悪く眺めは良くありませんでしたが、天気の良い日には箱根山域に沈みゆく夕日と富士山のシルエットを望む事ができるであろうロケーションでした。
- 所在地:神奈川県平塚市袖ヶ浜
- 訪問日:2022/05/17
- 平塚八景の石碑:「平塚海岸 展望 休憩所(袖ケ浜)」の前にあり。
- 平塚八景の説明看板:同上。
- その他:晴天時の夕暮れ時に訪れることをお勧めします。
地図
最後に
今回紹介した各名所の順番は、平塚市のページに掲載されていた順番に並べています。しかし実際に訪れた順番は、個人的に巡りやすい順番に訪問しています。自動車や自転車などで巡る場合は、出来るだけルートが一筆書き且つ距離が短くになるようにプランニングするとよいですね。
今回は東側から「森の前鳥神社」「金目川と観音堂」「七国峠・遠藤原」「霧降りの滝・松岩寺」「湘南平」「八幡山公園」「平塚砂丘の夕映え」「湘南潮来」の順で巡りましたが、夕日が望めそうな天気ならば「平塚砂丘の夕映え」を最後に持ってきた方が良いかもしれませんね。