かながわ県の中央部を流れる相模川にも「相模川八景」というのがある事を知ったので、少しずつその八つの風景を巡って行こうと思います。そもそも「相模川八景」というのは、1986年(昭和61年)に「いきいき未来相模川プラン」の策定にちなみ、県民の投票をもとに県と相模川沿岸に位置する市や町により、眺望の美しい場所を8ヶ所選定したものです。
選定された地点には、モニュメントやその地についての説明看板が設置されています。そしてモニュメントや説明看板には、金属製の凹凸のあるパネルが設置されていて、紙を当てて拓本を取ることができます。金属製のパネルには相模川とそれぞれの地を連想させる絵が刻まれていて、デザインのなかに文字が一文字刻まれていて8ヶ所集めると「さ・が・み・が・わ・八・け・い」となります。そして「相模川八景」に選定された景勝地は、次の8ヵ所です。
では、以下が実際に「相模川八景」に選定された場所に訪れた際の記録です。まだ未訪問の場所も多いですが、訪問次第この記事を更新していきたいと思います。みどりの中の相模湖(みどりのなかのさがみこ)
- 所在地:相模原市緑区日蓮(相模湖ふるさとの森)
- 訪問日:未訪問
津久井湖と津久井城址(つくいことつくいじょうし)
「津久井湖と津久井城址」のモニュメントがある場所は、津久井湖畔の北側を通る県道513号線にある「峯の薬師入口 バス停」の前につくられた展望広場です。広場の中ほどに、円形にデザインされたモニュメントが設置されていました。
モニュメントの中心には「津久井湖と津久井城址」と彫刻された大きな石が配置されています。その周囲には絵付きのタイルや石柱が円形に配置されていました。
その石柱のなかに、拓本が取れる金属製パネル(“が”の文字入り)が埋め込まれた石柱もありました。拓本パネルは、津久井湖と城山がデザインされていました。
こちらは、「津久井湖と津久井城址」についての説明が焼き付けられたタイルです。
こちらは、「相模川八景」の全体図が焼き付けられたタイルです。
こちらは、「金原伝承絵図」という津久井城址を中心に描かれたタイルでした。
この津久井湖と城山の眺めは、モニュメントが設置された展望広場からではなく、広場から150mほど北東にある短いトンネルの手前から撮影した風景です。モニュメントが設置された広場は、この時期は木々が茂り津久井湖方面の眺望があまり良くありませんでした。落葉期になれば視界が開けると思います。
- 所在地:相模原市緑区三井(峯の薬師入口バス停 展望台)
- モニュメントの位置:35°35'41.7"N 139°16'06.1"E
- 訪問日:2022年6月26日
美しいアーチの小倉橋(うつくしいあーちのおぐらばし)
「美しいアーチの小倉橋」のモニュメントがある場所は、小倉橋と新小倉橋の間に位置し相模川の右岸側につくられた小さな公園内に設置されていました。
モニュメントは大きな石でつくられ、そこに小倉橋についての説明が彫刻されていました。
こちらが、拓本が取れる金属製パネル(“み”の文字入り)です。小倉橋がデザインされていて、石のモニュメントに相模川全体図とともに設置されていました。
石のモニュメントの隣には、「渡船場跡」について説明した石碑が設置されています。
こちらが、小倉橋の下流側から撮影した小倉橋と新小倉橋です。2つの橋のアーチが協調し調和した美しい景観を作っていました。
- 所在地:相模原市緑区小倉(小倉橋下の河川敷)
- モニュメントの位置:35°35'12.9"N 139°17'52.4"E
- 訪問日:2022年6月26日
水郷田名と高田橋(すいごうたなとたかたばし)
「水郷田名と高田橋」のモニュメントがある場所は、相模川に架かる高田橋から上流側へ150mほど遡上した左岸側堤防上につくられた遊歩道の脇に設置されていました。モニュメントは、鮎をモチーフにした石像と相模川八景の説明パネルからなっています。
こちらが、「水郷田名と高田橋」の説明パネルです。だいぶ経年劣化していましたが、まだ刻まれた文字に塗料が残っていて文字が読みとりやすい。
こちらは、拓本が取れる金属製パネル(“が”の文字入り)です。清流と鮎がデザインされていました。
こちらは、堤防沿いにつくられた遊歩道です。散歩だけでなくジョギングを楽しまれている方々も多くいました。
こちらは、相模川八景の説明パネルにて紹介されていた「相模川八景 眺望の場」という高台からの写真です。水郷田名の街並みと高田橋が一望できました。
- 所在地:模原市中央区水郷田名2丁目(田名青少年広場)
- モニュメントの位置:35°32'35.6"N 139°19'46.2"E
- 訪問日:2022年6月26日
八景の棚と河岸段丘(はけのたなとかがんだんきゅう)
「八景の棚と河岸段丘」のモニュメントがある場所は、JR相模線の下溝駅付近を通る県道46号線の「新磯橋入口」交差点から、「新磯橋」へのカーブ外側のフェンスにありました。
こちらが「八景の棚と河岸段丘」の説明パネルです。だいぶ劣化が進み、「相模川八景」の文字が読み取り困難な状態まで色あせていました。
こちらは、拓本が取れる金属製パネル(“わ”の文字入り)です。拓本パネルの方は状態が良く文字などが残っていました。相模川と水鳥がデザインされていました。
ここ「八景の棚と河岸段丘」に関しては、説明パネルとモニュメントの位置が離れていて、モニュメントの設置された「三段の滝芝生広場」へは「新磯橋入口」から階段を数m下って行きます。
こちらが、そのモニュメントです。河川敷に生える植生と二羽の鳥がデザインされていました。鳥はおそらくシルエットからカワセミではないでしょうか。
- 所在地:相模原市南区下溝(三段の滝芝生広場)
- 説明パネルの位置:35°30'59.6"N 139°22'49.1"E
- モニュメントの位置:35°30'59.6"N 139°22'47.2"E
- 訪問日:2022年6月26日
三川合流点と大山(さんせんごうりゅうてんとおおやま)
相模川八景「三川合流点と大山」のモニュメントがある場所を探そうと思ったら、事前に調べていた風景や地形と大きく変わっていました。どうやら圏央道の建設工事や河川の改修工事により、辺りの雰囲気が一変してしまったようです。
仮設通路のような砂利道を通って河川敷に出てみると、「相模川」「中津川」「小鮎川」の3つの河川の合流点と、奥に丹沢山塊や大山が見えていました。広々とした河川敷と雄大な相模川、そこに流れ込む河川の合流地点という風景が印象的でした。
やはり相模川八景「三川合流点と大山」のモニュメントが見てみたく周辺を探しましたが見つからず、近隣にあった「海老名市 河原口」周辺案内地図にも特に記載がありません。ただこの地図には「河畔公園」の記載が残っていたため、先ほどの場所がモニュメントが設置されていた「河畔公園」だという事が分かりました。
おそらく河川の整備改修に伴って撤去されてしまったのか、どこかに保管されていて工事が終了したら再設置されるのでしょう。いちおう上の写真の位置がモニュメントが設置されていた付近だと推測します。この場所を特定した根拠は、モニュメント存在時に訪問されていた方の写真をもとに、大山と厚木無線中継局の位置関係から推定しました。河川工事が終わり、しばらくしたら再度訪れてみたいと思います。ちなみに拓本パネルの文字は “八”で、三つの川と桜の木がデザインされていたようです 。
- 所在地:海老名市 河原口(旧 河畔公園)
- モニュメントの位置:モニュメント見つからず
- 訪問日:2022年6月9日
寒川宮山の富士(さむかわみややまのふじ)
相模川八景「寒川宮山の富士」のモニュメントがある場所は、神奈川県高座郡寒川町一之宮に位置する「川とのふれあい公園」内の寒川浄水場取水堰側にあります。モニュメントは花壇が円周状に配置され、中心部に向けて十字に通路が配置され中央部が周囲より少し高くなっていました。
その高くなった通路の中心部には、相模川八景「寒川宮山の富士」の浮世絵と説明が記載されたタイルが埋め込まれていました。
そして、そのタイルの右側には「相模川の交通」についての説明パネルが埋め込まれた石柱が設置されています。
左側には、拓本が取れる金属製パネル(“い”の文字入り)が埋め込まれた石柱が設置されています。拓本パネルは、相模川と富士山がデザインされていました。
モニュメントの遠景です。天気が良ければここから富士山が見えたはずですが、この日は残念ながら雲が厚くて見ることができませんでした。モニュメントが設置されている場所の周囲は、芝生の広場となっていました。
- 所在地:高座郡寒川町一之宮(川とのふれあい公園)
- モニュメントの位置:35°22'28.6"N 139°22'22.3"E
- 訪問日:2022年5月8日
湘南潮来と河口(しょうなんいたことかこう)
相模川八景「湘南潮来と河口」のモニュメントが設置されている場所は、神奈川県平塚市須賀に位置し相模川に接した須賀港に隣接する「朝霧河畔緑地」内の広場にありました。
モニュメントの右側に設置された大きな自然石に、「相模川八景」と「湘南潮来と河口」の文字が彫られています。その下には金属パネルがはめ込まれていましたが、印字されていた文字が経年劣化なのでしょうか消えてしまっています。おそらく説明が記載されていたであろう痕跡が薄っすらと残っていましたが、一部しか読み取る事ができないため記載されていた内容の判読は不能でした。
金属パネルの左下には、紙を当てて拓本をとる事ができる拓本パネルが設置されていました。こちらの状態は良いようで、パネルの凹凸や塗料がしっかりと残っていました。拓本パネルは釣り人と相模川の河口がデザインされ、刻まれた文字(“い”の文字)もしっかりと読み取れました。
モニュメントの左側に設置された案内看板には、「湘南潮来」について記載されていました。名称の由来について、景観が水郷潮来(すいごういたこ)に似ているので湘南潮来と名付けられたと書いてありました。ちなみ、ここは平塚八景にも選定されていてるようですね。
続いて、相模湾と接する河口方面の眺望です。長い橋脚のシルエットが美しいトラスコ湘南大橋と、雄大な相模川河口がつくる風景にうっとりしてしまいました。
- 所在地:平塚市 須賀(河畔緑地)
- モニュメントの位置:35°19'16.4"N 139°21'58.1"E
- 訪問日:2022年5月11日
地図
最後に
写真や現地の状態は、すべて訪問した当時のものです。「相模川八景」の8ヵ所あるうちの2ヵ所について、モニュメントを見つけることが出来ていません。「みどりの中の相模湖」については、最近訪れた他の訪問者も見つける事ができていないようなので、撤去されてしまった可能性が極めて高いですね。