富士山の山頂へは夏季の2ヵ月間だけ、山頂にある「公衆トイレ」と「富士山測候所」に電力が供給されている事は各資料などから知っていたのですが、今回は実際にその供給ラインの一部に訪れてみました。今回訪れた場所は、富士山の麓から続く架空線(地上の送電ライン)から地中埋設ケーブルに切り替わる最後の電柱が建てられている所です。
この場所には上の写真のように、2本一組になった鳥居のようなつくりの電柱が1組と、独立した電柱が2本並んでいました。おそらく鳥居のように2本で一組になった電柱が資料にあった71号電柱と呼ばれる電柱で、ここから須走口五合目にある公衆トイレまで地中埋設ケーブルで送電されていると思われます。そして独立した電柱の2本が72号と73号の電柱となり、73号電柱から富士山頂まで地中埋設ケーブルにより送電されているという事を、今回の訪問で分かった事と事前に調べていた情報から仮説を立てました。ただし、現地の電柱に番号がわかるような表示を見つける事ができなかったので、仮設どまりとなったことが心残りです。
こちらが73号電柱と思われる電柱で、地上送電である架空線の最終電柱になります。送電ケーブルは、この電柱に沿って設置された保護パイプの中を通って地中へ入り富士山頂へ向うのです。
こちらが送電ケーブルが地中に入る部分です。この場所からはるか遠くに富士山の山頂が見えました。資料によると埋設ケーブルは約7.2kmあるそうです。
そして電柱群の山頂側には、この写真のように鉄管を並べて作った壁のような構造物が設置されていました。これは山頂側に設置されている事から、山頂側から転がってくる落石や雪代などから施設を守るバリケードとして設置した構造物ではないでしょうか。そして、この鉄管は良く見ると古くなった鋼管製の古い電柱を切断し再利用したもののようですね。
こちらは71号電柱とおもわれる電柱に設置されていた制御ボックスです。ボックスには「VT・避雷器内蔵形用 方向性SOG制御装置」と記載されていました。
71号電柱から分岐する送電ケーブルも、写真のように保護パイプを通して地中へと向かっていました。資料と現地の様子から推測すると、こちらのケーブルが須走口へと向かっているケーブルと思われます。
そして71号と72号電柱の上には、「開閉器」と思われる箱状の装置が設置されているのが確認できました。開閉器というのは、簡単に言うとスイッチのような装置で手動や自動で回路を入り切りできる装置です。おそらく、ここから地中埋設ケーブルとなるため地絡(地面とのショート)や落雷などから送電網を保護する目的で設置されているのだと思います。
そして電柱群のそばには、木製の電柱として使われていたであろう古い木柱の切断面が砂礫から現れていました。現在のような鋼管製の電柱になる以前は木製の電柱が使われていた事でしょうから、これはその当時の名残なのでしょうね。